平凡なおっさんの雑学ブログ

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【十字架に磔られた自殺者】

どーも本庄です。

 

「超」飽き性の私のブログ157投稿目です。

 

今回も私が書いた実際の事件のシナリオを投稿します。

 

気になったら読んでみてください。

 

【十字架に磔られた自殺者】

 

 


【登場人物】
・キム(58歳・個人タクシー運転手・狂信的なキリスト教信者)

・チュ(58歳・元牧師・第一発見者)

・ハン(46歳・聞慶市(ムンギョンシ)警察署の警部・キム氏を自殺として捜査をしている)

・チャン(38歳・聞慶市(ムンギョンシ)警察署の刑事・キム氏を他殺として捜査をしている)

 

 

【本編】
キム「行ってきます」

キムの妻「行ってらっしゃいあなた」

キムの娘「あっ、お父さん行ってらっしゃい」

【語り キム】
私は妻と娘と3人暮らしで、平凡ながら幸せな家庭を築いていた。
あんなことがあるまでは

【場面転換 職場】

キム「さて、今日もこれで終わりだな。そろそろ帰る準備をしようかな」

先輩「おい、キム!ちょっとこれやっといてくれる?」

キム「えっ!あっ!いやこれから帰るところで」

先輩「はぁ?お前仕事もできないくせに俺らより先に帰るっていうのか?」

キム「ですが、私の仕事は終わりましたので」

先輩「いいから、これをやってから帰るんだ。いいな!」

キム「わ、わかりました」

【語り キム】
私は一度仕事で大きなミスをしてしまったことで、会社の同僚や先輩からいじめられるようになった。
それは日に日にひどくなる一方で、上司も見て見ぬふりだ。
仕事を押し付けられる事なんて軽いほうで、ひどいときには水をかけられたり上着を引き裂かれたりとまるで小学生のようないじめが繰り返されていた。
そして私は仕事を辞めざるを得なくなった

【場面転換 キムの自宅】

キムの妻「ちょっとあなた。ぼーっとテレビなんて見てないで仕事探してよ」

キム「あぁ!わかってるよ。でも俺は個人タクシーを始めようかと思っているんだ」

キムの妻「そんな不安定な仕事じゃなくて、ちゃんと固定で収入が入ってくるような仕事がいいと思うんだけど」

キム「わかってるよ、でも探しているけどなかなかこの年で雇ってくれるところもなくてな」

キムの妻「事情は分かるけどちゃんと安定した収入がないとこの先不安でしょうがないよ」

キム「わかってるって言ってるだろ!?そんなに心配ならお前が働けばいいだろ?」

キムの妻「じゃあ誰が子供の面倒を見るのよ!私が見なくちゃいけないんだから仕事なんてできるわけないじゃないのよ!」

キム「うるさい!俺はできるだけの事はやってる。ごちゃごちゃ言うんじゃない!」

【語り キム】
仕事を辞めてから妻と娘との関係は悪化し、私は精神不安定になりその時に知り合った元牧師のチュ牧師の勧めでキリスト教に入信しすることになった

【場面転換 教会】
チュ牧師「こんにちはキムさん。今日もいらっしゃったんですね」

キム「こんにちはチュ牧師。私はキリスト教に入信して救われました。それもこれもチュ牧師のおかげです。」

チュ牧師「いえいえ、それであなたの人生が明るくなれば幸いですよ」

キム「チュ牧師、私はキリストになりたいと本気で思っているんです。
キリストになれるんだったらどんなことだってしますよ」

【場面転換 キムの自宅】

キムの妻「あなた最近変な宗教にのめり込んでいるみたいね」

キム「変な宗教とはなんだ!」

キムの妻「あなたにとっては救いなのかもしれませんが、それは私たち二人にとって家族の関係を悪化させる原因でしかないわ。
それで、私たち二人はもうあなたにはついていけません。
離婚してください」

キム「分かった。じゃあこれからは別々の道を行こう」

【語り キム】
こうして私たち家族は1995年に離散してしまい、その後私は家族とは一切連絡を取っていない。
そして私は2011年に昌原(チャンウォン)から聞慶(ムンギョン)に行きテント暮らしを始めた

【場面転換 テントの中】

SE:プルルルル・・・プルルルル(電話の音)

SE:ピッ(電話に出る)

キム「もしもし、俺だ!」

キムの弟「あぁ!兄貴か!どうしたんだ急に電話なんかかけてきて。
兄貴が離婚して以来か?」

キム「あぁそれぐらいかな!?」

キムの弟「その後の生活はどうなんだ?」

キム「あぁ、まぁまぁってとこだな!
それよりお前最近、教会に行ったか?」

キムの弟「そうだな、先週の日曜に行ってきたけどどうした?」

キム「いや、何でもない。それじゃあな!元気でな!」

キムの弟「何だよ!その意味ありげな言い方は?」

キム「なんでもないよ。またな!」

キムの弟「お、おいちょっ・・」

SE:ツーツーツー(電話が切れる)

【語り キム】
私は弟に電話をしたのを最後に身内との一切の連絡を絶った。
そして私は当初の目的のために準備を始めた
十字架に磔になる為にはくぎや金づち、電気ドリルが必要だった。
これらを購入し本番に向けて何度も何度も予行演習をした。

【場面転換 山奥】

キム「はぁはぁはぁ・・十字架のサイズはこれくらいでいいだろう
後は自分の手足にくぎを打ち磔になれば私はキリストになれる」

チュ元牧師「キム!君はここで一体何をしているんだ!?
君が自殺の予行演習をしていると聞いて私はここに来たんだ。
馬鹿な事はやめなさい」

キム「チュ牧師。私はね、キリストになりたいんですよ。
私がキリストになってこの腐った世の中をよりよくしてあげますよ」

チュ元牧師「いいかね、君が十字架に磔られたからといってキリストになれるわけじゃないんだ!
家族とも別れ辛いのはわかるが、死んでどうするんだ?
生きていればつらい事もあるが、幸せな事だってたくさんあるはずだ!
だから、私と一緒に帰ろう。なっ!」

キム「私は死ぬわけではありませんよ!

生まれ変わってキリストになるんですから。」

チュ元牧師「そんな事できるわけがないだろ!

君が死んだらそれまでだ。生まれ変わることもキリストになることもできないんだ
君がどんなにつらいことがあったのか私にはわからない。

だけど死んではダメだ!
いいかね、だから私と帰ろう」

キム「わかりました。チュ牧師がそこまで言うのなら・・・」

チュ元牧師「あぁ、さぁ行こう」

【語り キム】
私はチュ牧師に言われるままテントに戻ったが、どうしても私の生きている意味が分からなかった。

私はどうしてもキリストに生まれ変わりたかった。

【場面転換 テレビのニュース】
キャスター「昨夜、韓国の南東部・慶尚北道聞慶市郊外の山中で十字架に磔られた状態で死んでいるのが発見されました。
死んでいたのは個人タクシー運転手のキムさん58歳とみられています。
警察は現場の証拠から自殺として捜査を進めている模様ですが、他殺の可能性も含めて慎重に捜査を行っております。」

【場面転換 聞慶市警察署内会議室】

警察署長「いいかみんな!これは自殺の可能性が強いが、まだ他殺の可能性もある。
だからどんな些細な物でも構わないから現場で証拠となる物や、目撃者、知人、友人などから聞き込みを行ってくれ」

一同「はい。了解しました」

【場面転換 警察署内殺人課オフィス】

ハン警部「これはどう考えても自殺だろ?」

チャン刑事「やはりそうですか。現場の証拠からは自殺を図ったとみられるものしか見つかっていませんしね

ハン警部「この死んだ男は以前からキリストになりたいと元牧師に漏らしていたそうだ
だからこんな手の込んだ自殺をしたんだ」

チャン刑事「だからといって自分で十字架に磔になることなんて可能なんですかね!?」

ハン警部「可能だろう!あらかじめ打ち込んでいた釘に後から手や足を通せばいいんだから」

チャン刑事「とは言っても、自分の手足に穴をあけるわけですから相当な激痛ですよ!?
人ってそんな激痛に耐えられるものですかね!?
それを4回も繰り返したあと、自分でわき腹を刺す事なんて本当に可能なんでしょうか?」

ハン警部「宗教ってもんは信じている者にとっては絶対的な物だからな。
特にこの男は自らがキリストになりたいと言っていた奴だからな」

チャン刑事「この自殺計画書によると縄で十字架に磔状態にした後、腹部を刃物で傷つけ、その後両手両足に電気ドリルで穴をあけ、くさびを打ち込んで絶命すると書いてありますね」

ハン警部「あぁ!だからこいつはその自殺計画書通りにやったんだろ!?」

チャン刑事「本当にこんなことが可能なんでしょうか?」

【場面転換 警察署内鑑識】

鑑識官「十字架の足を置く部分はちょうど亡くなった人の足のサイズとほぼ一緒なんですよ」

ハン警部「それが何か問題でも?」

鑑識官「えぇ!この亡くなった方の体系からして、十字架に立った状態で自分の足にくぎを打ち込もうとすれば確実に前に落ちてしまいます。
それに本当にこれが自殺なら『ためらい傷』があるはずなんですが、この遺体にはそれがないのです。
その事から、これは第三者が関わっていないとできないと判断しました」

チャン刑事「やはりこれは他殺なんじゃないでしょうか?
自分の足や手に電気ドリルで穴を開けるなんて普通の人間では激痛でのたうち回るはずですよ」

ハン警部「だが、この男は自分で十字架の制作に必要な木材を購入していたり、預金や携帯電話を解約していたりして、身辺整理をしているんだぞ。
それこそがこの男の自殺の証拠じゃないか?」

チャン刑事「とはいっても、両足にくぎを打つ事や全く同じ箇所にくぎを打ち付けてあることなどを考えると、第三者が絡んでないとできない犯行ですよ」

ハン警部「おそらく、現場で見つかった心臓病に関係する薬を大量に服用して体を麻痺状態にして釘を打ち込んだのだろう」

チャン刑事「ですが、キムの体からは薬を飲んだ形跡はありませんでしたよ。
仮に大量に飲んでしたとしたら体が動かせないほどのまひ状態になると専門家はいっていますし」

ハン警部「だが、釘やいばらの冠などからは第三者の指紋は検出されなかった。
それに見つかったメモだってキム本人が書いたものだった。
だから、このこれはキリスト教の狂信者による手の込んだ自殺だよ」

チャン刑事「本当にそうでしょうか?」

【場面転換 ニュース画面】

キャスター「今月の初めころ韓国の南東部の山中で男性が十字架に磔られた状態でなくなっている事件について、韓国警察は第三者が絡んでいる可能性は低いとして自殺として捜査をしている所です」
                                 【完】